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2006/02/17

五井昌久先生の短歌:庭の紅梅

今年は、寒かったせいで、梅の開花が全国的に遅れているらしいですね。

私は、梅の花を見て楽しむような、いわゆる「風情」というものを全く持ちあわせていない人間なので、桜の花見には行っても、梅の花見に行くなんてことは、あまり(というか全く)ないですね。

そんな風流のない私ですが、先日、五井昌久先生の歌集「夜半の祈り」に収録されている、庭の紅梅を詠んだ歌を読み、なんだか今年は無性に、梅の花を見に行きたくなりました。

10首掲載されている内から、数首紹介させていただきます。

厳冬を耐えきて庭に咲き匂ふ紅梅の花のいのちいとしむ

紅梅のここにも咲けり天地(あめつち)の美(は)しきみ心庭に充ちおり

もの言ふがに蕾(つぼみ)ふくらむ紅梅のいのちの奥にふれて我が佇つ

肩すぼめ歩みこし人も背を伸ばし暫くはみる庭の紅梅

その時の、庭に咲きぼこる紅梅の美しい情景と、それを愛でる人たちの姿が眼に浮かぶようです。五井先生の歌は読むと、心が洗われ清々しい気分になりますね。

昭和46~48年頃の作で、場所はおそらく市川の聖ヶ丘道場の昱修庵の庭だと思います。

本の最期に、五井先生は昭和46、7年頃は、まだ各地に講演会などに出向いておられたのが、昭和48年から亡くなられる昭和55年までは、ずっと昱修庵にこもられていたと書かれていました。この歌を詠まれた頃は、まだお体の方はきつくなかったかもしれませんが、そういうことを思うと、この歌がより一層心に響いてきます。

私が先生らしいな、と思ったのは

インドシナの戦火つづけり咲き匂ふ紅梅の庭に我が佇(た)てる間も

という歌。

五井先生の歌は、世界情勢を詠まれた歌というのが多いですね。

「私は叙情的な歌のほうが好きなんだけども、時局の歌を書かないではいられないんだ」と語っておられた先生の言葉が思い出されました。

当ブログの左サイドでおすすめの本として、この「夜半の祈り 五井昌久歌集」を紹介していますが、まだ、全部読みきれていません。

330首も掲載されていて、こういう分野に疎い私には一挙に読めるものではないので、少しづつじっくりと味わいながら読んでいこうと思っているところです。

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