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2006/09/26

「幻の棟方志功」展

大丸ミュージアムKOBEで25日まで開催されていた「幻の棟方志功―大原美術館、クラレ秘蔵作品より―」展に行ってきました。

Munakata

大原美術館の創業者であり株式会社クラレの経営を担った大原孫三郎と、息子の総一郎は、日本民藝運動の支援者であり、棟方さんとも深い親交がありました。

上のチラシの緋鯉の屏風絵は、大原孫三郎の還暦祝いに描かれたそうですが、それにふさわしい、おおらかな、幸せな気分になる、実に立派な絵でした。
絵の中から、鯉が飛び跳ねて出てきそうな、元気な、瑞々しい生命力に満ち満ちた絵でした。幾人かの人達が「すごいねぇ」と、感嘆の声を上げていました。


菩薩が描かれた大原邸の襖絵が展示されていましたが、その絵を描いた際のエピソードが面白いものでした。
5人の菩薩で、仏の備える5つの智慧「情熱」「叡智」「寛容」「仁愛」「静謐」を現しているのですが、翌日の円遊会に間に合わせようと描いたところ、絵がさかさまになっているのに気づいて、マアマアの仕上がりだと満足していたのが一転、これは大変だということになったそうです。
結局、その日の夜の内に張りなおしたそうですが、何とも棟方さんらしいエピソードだな、とほほえましくなりました。
前に椅子があったので、座ってしばらく眺めていましたが、何ともいえず良い心地がしました。


大原美術館の外観を描いた絵の中に、初めて美術館を見た感想として、「ゴッホを初めてホンモノで見ましたがコレは弱いと思いました」と書かれていました。
このゴッホの絵は後に贋作の疑いがかけられ、今では撤去されているそうです。
「わだばゴッホになる」と言っていただけあって、さすがにゴッホを見る目は確かだったようです。

棟方さんの芸術は、仏教の他力の思想と密接に結びついています。
棟方さんは、アメリカで板画のレクチャーを行った際、このように自分の板画を説明したそうです。
「自力の考えに立てば、板画をつくるということになるのですが、他力の考えに立てば、板画はつくらなくても、仏様の力によって自然に生まれてくるのです。私は、彫りも刷りも余り上手ではない。下手な方なのだけれども、その下手なところは、仏様、つまり板画の神様が助けてくれる。私は幸せです。」

棟方さんは、視力が悪くて、左目は見えていませんでしたが、そのことでかえって、肉体の目の力に頼らず、内なる神仏の力にお任せして創作することができたのではないかと思います。

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